Recalling Mirror

二宮知子

気は凝固し、光は未知の液体となる―
そのようなことが植物の内部で起こっているように思える。

狂気と正気、あるいは生と死の間にあり、さまざまな視線を
投げかけてくる手触りのある幻影たち。
エロース、タナトス、静かな狂気。

絵の中の黒い人影は、いろいろな時代にいろいろな場所
で必然的に出逢う、二つの魂を示している。
対極でも同一でもあるそれらは、互いを覗き込む一対の鏡のように、
永遠の反射の中で、無限の諧調を生み、分かち難く存在し続ける。

光の液体が流れ出し、内と外を循環し始めた。
くめどもつきぬ泉のように…。
やがて、一つの天体、一つの音楽にも似た花を、
匂やかに咲かせることだろう。

   ―Flower Art Gallery 8「フローリスト」August1997

"Recalling mirror"
somewhere from out of...